明和マネジメント税理士法人 公式ブログ

 ものづくり補助金は平成21年度に創出された「ものづくり中小企業製品開発等支援補助金」から始まった補助制度で、正式名称・内容は年度ごとに変わりながらも毎年多くの予算を投入される補助金です。

 最初は認知度も低く申請者も少なかったのですが、近年予算額も増え認知度も高まるにつれて人気で激戦の補助金となってきております。補助金は重要な資金調達方法の1つです。

 ものづくり補助金って聞いたことはあるけど、実際どういった補助金なのか、自分の会社でも申請できるのかといった疑問をお持ちの方のために補助金の内容、申請方法等を整理していきましょう。「名前は聞いたことあるけど、うちには関係なさそう」と思っている社長のみなさまにも、申請できるかどうか考える機会になれば幸いです。

(内容は直近の平成28年度補正予算公募時の要綱を基準に記載しています。)

 

 

(1)ものづくり補助金の対象者と類型

 現在の正式名称は「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」といいます。

この補助金の目的として「国際的な経済社会情勢の変化に対応し、足腰の強い経済を構築するため、経営力向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための中小企業・小規模事業者の設備投資等の一部を支援します」と書かれています。

 

 ここでまず大事なことは基本的に日本国内の企業で中小企業(個人事業もオーケー)であれば対象となり特に業種は限定されていないという点です。いわゆる製造業が行う試作品開発以外でも革新的なサービス開発に伴う設備投資にも補助金の対象になるということです。

ただし、「中小企業かどうか」は業種ごとに規定があります (下記表参照)

この表にあてはまれば(公序良俗に反する事業を除く)補助金の申請を行うことが出来ます。(その他組合関連は種類によって対象となる事業がことなりますので、詳細は弊社までお問い合わせください。)

 

申請には革新的サービスものづくり技術の二つの類型があり、さらに事業の規模、内容によって補助金の上限額が3,000万円、1,000万円、500万円(2種)の4種類がありその組み合わせにより8つの申請パターンがあります。

革新的サービスとは、“「中小サービス事業者の生産性向上の為のガイドライン」で示された方法で行う革新的なサービスの創出・サービス提供プロセス改善の為の計画”と規定され、

一方ものづくり技術とは”「中小ものづくり高度化法」に基づく革新的な試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させる計画”とされています(それぞれ公募要項より抜粋)。

 要約すると計画を行って結果、形となって目に見える“モノ”ができる場合はものづくり技術、システム等、“モノ”としては存在しない場合は革新的サービスとなります。

 「中小サービス事業者の生産性向上の為のガイドライン」、「中小ものづくり高度化法」とはそれぞれの規定で示されている方法のどの方法を利用して新事業を行うかということです。(詳細は弊社までお問い合わせください)

 

どのパターンで申請するかによって記載の内容も変わり加点ポイントも変わり、対象となる経費も変わってきます。事業の内容によっては採択を受ける可能性が変わるので十分な検討が必要です。

 

そして、申請には認定支援機関による事業計画の実効性の確認書が必要となります。

国の補助金を利用する場合、通常、認定支援機関との連携が必要になり、申請前に国の認定を受けた特定の機関により事業内容の妥当性を確認してもらうことで、採択の可能性をより高めるという目的があります。申請者にとってもどこまで相談に乗ってくれるのか、申請のサポートを行ってくれるか等、認定支援機関選びも重要になってきます。(詳しくはコラム②で解説します。)

 

 

(2)スケジュール

補助金の申請から交付までの流れとして大まかに以下のような順で作業を進めます。

 

事業内容の大枠の策定…新しい製品・サービスの開発内容を決める

補助金の情報収集…開発内容が補助金と合致しているのか、認定支援機関をどこに依頼するのか等の情報収集

公募する補助事業内容の決定…補助金が求める革新的な要件、収益性の要件を満たす計画を認定支援機関等と決定する

書類の作成…申請書、計画書等を補助金の趣旨に添うように作成

応募申請…郵送または電子申請にて提出

審査・採択…提出期限から2か月程度で採択の発表

交付申請…見積もり書などを提出して補助金額を確定させる

補助事業の開始…申請内容に沿って事業を開始 

        ※このタイミングから始めた事業しか補助金の対象になりません!

中間審査…事業の進捗度具合を事務局が審査

実績報告…事業の完了後、実績報告書等を作成・提出

確定検査…提出した書類をもとに最終確認 補助金支給額の最終決定

補助金請求…決定した補助金額の請求書を作成・提出

補助金支給…補助金が振り込まれる

 

 

結構項目が多いと感じられたでしょうか?ものづくり補助金に限らず補助金は税金から運営されていますので、ある程度の厳格な手続きをもって進められます。またそれぞれに、提出期限がありすぎてしまうと⑬まで到達できなくなってしまう恐れがあるのでスケジューリングが重要となります。

 

まず、①~⑤の申請までの手続きですが、①で会社新しくやりたいこと、導入したいことを決めた際にその事業内容が補助金と合致しているのかが重要となります。細かい公募内容は年度ごとに替わり、それにより重視すべきポイントも変わりますので内容のチェックが重要です。

そして内容を決めて書類の作成を行うのですが補助金は内容が合致した申請をすれば必ず採択されるというものではありません。

例えば、「最新の機械を挿入して作業効率をアップさせます」という内容のみでは申請内容自体には問題ありませんが採択される可能性は低いと言わざるをえません。

最新の機械を導入すれば効率が上がるのは当たり前です、自社のこれまでの培った技術と合わせて更なる製品の品質の向上、ロスの削減等が可能かどうかというアピールが大切になります。自社の強み、他社との違いを明確かつ分かりやすくまとめて書類を作成していきます。

また補助金はアイデアコンテストではありません、いくら奇抜なアイデアでも、それが売り上げの上昇に結びつかないものだと採択を受ける可能性は低くなります。

収益の見込み等、事業計画の作成も必要になります。

 

ここでもう一つ確認しておかないといけないのが、公募期間です。通常、補助金の募集の発表があってから書類提出の期限は約2か月間です。

例として、平成28年度は28年11月14日から29年1月17日の期限でした。

この期間内に①~⑤のすべてを本業の合間を縫って行うのは容易ではないと思います。特に、平成28年度は年末年始を挟んでいたのでとても厳しいスケジュールでした。

 

つまり、申請には事前の準備が大切だということです。公募の発表があってから①から考えていたのでは書類作成に十分な時間をつかえず、アピールポイントが少ない申請書になってしまいます。

新しくやりたい事業の概要といつぐらいに行うのかを決め、自社の強みやターゲットとなるマーケットの絞り込み等を行い5年程度の事業計画書を策定し申請書類の記載内容を決めておくことが出来れば補助金申請にとても有利な状態でスタートすることが出来ます。準備が出来ていれば、発表があった際にその内容に合うように調整行うだけで十分に深みのある申請書を作ることが出来ます。

今からなら遅くはありません。事前の準備、事前に相談するべき人を今のうちから決めておくことをオススメします。また、定期的にものづくり以外も含めて補助金の情報をチェックしておきましょう。

 

次に⑥~⑬の採択後ですが、まず補助金は採択を受けたらすぐにもらえるものではありません。採択後に認められた新事業を行い、購入・使用した後でその一部を補助金としてもらえます。その間に資類の作成や検査等もあり、採択後もかなりの労力が必要です。

そして、もう一つ重要なのが資金繰りです。上記の通り補助金は後払いですので、自己資金で賄えない場合、金融機関からの融資が必要になります。補助金は対象期間が定められ、決められた期間までに購入予定の設備等の支払い・納品が完了していないと補助金が受けられません。そのため事前に金融機関とも相談しておくことも必要になってきます。

このように採択を受けたからと言って安心はできません。スムーズに事業が進められる様、社内体制の整備や採択後のサポートをしていただける方を決めておきましょう。

 

 

いかがでしょうか?事前準備も兼ねて一度、御社でこういった新商品を開発したい、新サービスを始める為にこういった機材が必要だ等と思うことがあればものづくり補助金を検討してみましょう。

 

弊社では、認定支援機関として事前の相談から採択後のアフターサービスまですべて行っておりますので、よろしければ一度ご相談ください。