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大阪府内の工業用機械メーカー 年商2億3千万円

これは、当社と顧問契約を結んでくださっている、あるメーカーさんのお話です。大手企業の下請工場を経営していらっしやいます。

このメーカーさん、決算報告書の数字が芳しくないにもかかわらず、追加融資を引き出すことに成功しました。もともとの借入が、某金融機関から約1,000万円。さらに経理上の数字を見ていると、「来年のこの時期あたりに資金繰りが苦しくなりそうだ」ということが判明。さらに融資をお願いしないといけない。これが追加融資ですね。

通常、決算報告書の内容が良くないと追加融資は難しいものです。
にもかかわらず、このメーカーさんが見事にやってのけたコツは、「銀行とうまく付き合う = 融資担当者を味方にする」ことだったのです。
まず私どもが最初にご提案したのは「現在借入している金融機関で積立定期をつくる」ということでした。
自動引き落としにしてはいけません。また毎月ATMから入金するのは意味がない。1ヶ月に1回、自分の足でその支店に出向いて窓口で入金し、その”ついで”に「あっ、すいません、融資の○○さんいらっしゃいますか」と窓口職員に声をかけ、○○さんを呼び出してもらう。

大切なのは、定期的に融資の担当者と顔を合わせること。積立定期は、いわばその支店を定期的に訪れる言い訳のようなものです。(どっちがついでなんだか・・・・・)

私どもは毎月、そのメーカーさんの経理報告書類を作ります。別に作成している長期的な資金繰計画書や事業計画書と、実際のこの1ケ月の数字とどれくらいの開きがあるか、そして、それはどんな要因によるものなのかという分析がついています。

その報告書類一式が、融資担当者へのおみやげ。社長さんは書類を担当者に見せながら、自分の工場が今どのような状態であるかを説明するわけです。「待ってください、自分んちの財務状況を全部オープンにしてしまったら、銀行に全部もっていかれてしまいますよ。だってその銀行から借入しているんでしょう」。という声が聞こえてきそうです。実際、その社長さんも最初のうちは、かなり渋っておられました。

でも、よく考えてみましょう。「どうも追加融資をしてもらわないといけなくなりそう」ということが、今、この時点でわかっているのです。で、そのときにはどうせ、すべての資料を提出しなければならない。出せと言われてから渋々出すより、こちらから進んで出す方が、出す方も出される方も気分がいい。

「気分がいい」というのは甚だアイマイな利点ですが、実際に借入をした方ならおわかりでしょうけれど、実はかなり嬉しいファクターです。もちろん融資担当者の心証も変わってきますしね。それに、普段から財務内容を知らされていれば、融資担当者も、「来年あたり追加融資の話を持ってこられそうだ」というのがだいたい想像できる。 

で、「いざ融資」という段になるまで、その担当者もいろんな方策を考える時間があるわけです。たとえば「現状から見ると追加融資額はこれくらい要求されそうだけど、それなら現在の借り入れの返済額を2ヶ月だけ滅額して、そしたら決算は乗り切れるから、追加融資額はこれくらいに減らせるかも」といった感じの算段です。 1000万円の追加融資のつもりだったのが、やり繰りのしようによっては、600万円くらいで済むかもしれない。「でもね、融資担当者だって忙しいんでしょ?毎月毎月、借金のある零細企業の話なんて聞いてくれますかねぇ~?」。たしかにそういう不安もおありでしょう。

このケースの社長さんも当初、かなり行きづらいとおっしやていました。でも、2回・3回と通ううち(2ヶ月後・3ヶ月後ということですね)、担当者の方も「あ、まただ」とわかるようになったのか、快く迎えてくれるようになり、世間話をするまでになったのだとか。
私の知り合いの金融機関の職員に聞くと、毎月のように報告書を持って来られると、担当者は「とっても助かる」。自分からわざわざ情報収集する必要もないし、話をしながらそのお客様の企業が抱える別の良い点・悪い点が見えてくる。

第一、毎月自分を訪れて報告しに来てくれる人って、それだけでも印象が良くなりますよね。融資担当者だって人の子。悪く思わない相手に、悪くしようなんて思わない。

さて、最初にお話しした通り、このメーカーさんは、決算報告書の内容があまり良くなかったのにもかかわらず、運転資金のための追加融資を引き出してしまいました。まず、心証が良かった。

そして、決算報告書には出てこないこのメーカーさんの強みを、月に1度のコミュニケーションでしっかりアピールできていた。そして毎月の積立定期も「実績」となった。積立の金額から、「この会社にはこれくらいの返済能力がありそう」という計算は、融資係なら誰でも瞬時にしますからね。

結論!金融機関はあなたの味方

隠そうとするから怪しげに見える。ほじくりかえしたくなる。だったら、自分からどんどん情報公開しましょう。金融機関は、お客様の企業が発展してこそ自分たちも存続できるのだから、お客様が倒産しないようにいろんな知恵を絞ってくれます。ただ、普段から仲良くしておかないと。その第一歩が、積立定期です。

■借入のために絶対的に必要なものはなんといっても試算表です。現在、金融機関は、独自の金融検査マニュアルを元に、貸出先に自己査定を行っています。

■経営者側にしてみれば「借りたい」、金融機関側は「貸したい」というのが本音ですから貸し渋りなどおこるはずはないのです。ところが現実は逆です。貸し渋りがあたり前のように行われています。経営者の方からすると「勝手な判断するな!」と言いたくなるでしょう。

■しかしさきほど述べたように金融機関のホンネは貸したいのです。借入を申し込みにくる経営者の方の準備が少しだけ足りないだけなのです。

■金融機関はあなたの会社の事業計画や月々の業績管理を判断の材料としています。そこで試算表は絶大な威力を発揮します。試算表は経営者の方に自分の会社の状態を認識してもらい、アピールポイントを把握してもらいます。貸したい金融機関に対してアピールポイントさえ間違なければ資金調達は簡単にできます。

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